L-テアニン担当を始めて5年目。
30年以上L-テアニンを研究してきた研究員らとともに、健康機能素材の研究開発に取り組んでいます。
L-テアニンにまつわる知識を吸収して
日々の生活を豊かにしよう。
太陽化学株式会社関係会社所属
日本茶インストラクター 小出
太陽化学株式会社 研究員
山本ちひろ
L-テアニン担当を始めて5年目。
30年以上L-テアニンを研究してきた研究員らとともに、健康機能素材の研究開発に取り組んでいます。
健康素材を探す研究開発活動の中でL-テアニンに巡り合い、30年以上研究しています…
L-テアニンは京都の茶業研究所で “高級な茶葉に含まれるアミノ酸”として発見されています。その後、太陽化学も健康素材を探してL-テアニンに巡り合い、研究を30年間以上続ける中で様々な健康エビデンスを確認してきました。当時、L-テアニンの研究を始めた研究員は“テアニン博士”と呼ばれており、私も博士から色々学びました。研究初期は大量生産の技術がなかったので、太陽化学では生産技術を開発し、1991年に日本で初めてL-テアニンの工業化に成功しました。
太陽化学はL-テアニンだけではなくお茶の成分として有名なカテキンも研究対象としています。太陽化学株式会社の研究所がある三重県はお茶の生産量が全国で第3位*、土地のご縁を感じます。
* 農林水産省発表(令和3年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産)
気になりますよね…
結論からいうと様々な方法で安全が確かめられている素材…
L-テアニンはお茶を通じた食経験が長いほか、動物や微生物を用いた試験で安全性が確認されている成分です。日本では、国により安全性が科学的に確認されたもののみが食品添加物として使用されることが認められていますが、L-テアニンは1964年には日本で食品添加物として指定されました。また米国の医薬品や健康食品の安全性を証明するGRASでも認証を受けており、海外でも安全と認められています。
ヒトの経口摂取試験で1日に1000mg(煎茶で換算すると8ℓほどになります)を4週間摂り続けても有害な事象は起こらなかったというデータもあります。
安全性って一番に気になることですよね。普段づかいの煎茶などの含有量を考えると、L-テアニンを高濃度に抽出したお茶を口にすることに不安に感じる方もいるかもしれません。私も研究所でL-テアニンを扱い始めたとき、まず初めに確認した記憶があります。
多様な健康エビデンスがある素材なので、その情報を多くの方に知っていただきたい…
L-テアニンは様々なエビデンスがあり、機能性表示食品の関与成分としても認知度が上がってきている素材のため、やはり近頃は明確に機能性を謳える健康機能について興味を持って頂くことが多いです。社会のニーズもあってか、「睡眠」に関連するお問合せは非常に多いですね。
L-テアニンは機能性表示食品制度に対応したエビデンス以外にも多様な生理機能がある素材です。その情報を多くの方に知っていただき、より健康な毎日のためにL-テアニンに関する知識を役立てて頂けるといいなと思っています。
テアニン担当 研究員
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日本茶インストラクター
太陽化学株式会社にてL-テアニンの製品担当をしている山本研究員が
日本茶インストラクター*1の資格を持つ太陽化学株式会社関係会社*2の小出先生に、
日本茶から考える健康成分L-テアニンについてインタビュー。
*1 日本茶インストラクター協会認定の資格
*2 上海太陽食研国際貿易有限公司
山本
こんにちは、本日はよろしくお願いします。私、L-テアニンを担当しているといっても、まだまだお茶については未知のことが多くて…今日は色々教えていただければと思います。
早速ですが、日本茶インストラクターになるにはどのような素質が必要なのでしょうか。日本茶の製法・種類・生産地などから淹れ方までさまざまな知識が必要だと聞きました。淹れ方には実技試験もあるとか?
小出
よろしくお願いします。その通り、日本で生産される緑茶…つまり日本茶にまつわる様々な知識が必要です。“お茶の健康科学”という分野もあり、L-テアニンについての知識も問われます。実技では玉露やほうじ茶など指定の茶葉に対応した茶器を選ぶところから始まって、淹れながら日本茶についての知識を審査員にプレゼンテーションする必要がありますよ。
山本
知識を身に着けるだけではなく“伝える”ことも重要視されているのですね。私も資格に挑戦した方が良いかな…笑
小出さんはなぜ日本茶インストラクターの資格を取得しようと思ったのでしょうか?
小出
会社でお茶の成分のカテキンについて研究を担当していたことがきっかけです。生理機能を研究していたのですが、緑茶の味については知識がなく…勉強するためにインストラクターの資格を取得しました。お茶の研究が繋いだご縁ですね。同じように、四日市に本社と研究所を持つ太陽化学がお茶の葉の健康成分であるカテキンとL-テアニンを研究対象にしたのにも土地の縁を感じます。あまり知られていないのですが、三重県はお茶の生産量が日本で第3位です。
山本
やはり地元産品を研究対象に?
小出
それもありますが、研究を始めた頃は「茶葉から抽出した成分で研究」していたので、やはり原料が近くにあると良いんです。研究しやすい。四日市の本社から車で5分もいけば茶畑が広がってますしね。
山本
確かに!
小出
三重のお茶は“伊勢茶”という名前で一番知られているかもしれません。さらに「かぶせ茶」という玉露と並ぶ高級茶をたくさん生産しています。太陽化学のある四日市はこのかぶせ茶の産地としても有名です。かぶせ茶はアミノ酸のL-テアニンの含有量が多く、味わいも煎茶とは全く違います。摘み取り前に日光を遮るために黒い網を被せる作業をするので、日光が当たることで分解されてしまうL-テアニンがたくさん残っています。
山本
私は九州出身なのですが、“伊勢茶“を入社試験の時に初めて知りました…出してもらったペットボトルの緑茶が伊勢茶だったので「あ、三重もお茶の生産が盛んなのかな?」と。かぶせ茶といえば、研究所にお客様がいらっしゃると、かぶせ茶をお出しして、さらに茶葉に醤油をたらしてお召し上がりいただくこともありますよね。
山本
インストラクターの資格取得に緑茶の健康機能の知識も重要だとのことですが、“美味しいお茶”を淹れるにあたってあまり重要ではないのかな…と思ってしまうのですが…?
小出
そんなことはありません。もともとお茶が広まったのは、お茶を飲むことによって得られる健康効果が注目されていたからです。日本へのお茶の伝来は1211年、僧の栄西が日本に持ち込んだと言われています。彼が書いた「喫茶養生記」には“養生之仙薬、延齢之妙術”という旨の記述があります。そこから、お茶は主に健康目的で飲まれ、広まってきました。
山本
そうなんですね。今の私たちは情報として緑茶の健康情報を知っているからこそ健康目的で飲用するという側面もありますが、健康をサポートしてくれるという体感があるからこそ広がってきたのですね。
小出
カテキン、カフェイン、L-テアニンなどが緑茶の健康成分として主に挙げられています。
山本
実は私は入社前には“お茶の健康成分=ポリフェノール”つまりカテキンのイメージしか持っていなかったので、L-テアニンについては入社してから知りました。多くの方がお茶の健康成分というとカテキンを思い浮かべるのではないかと思います。L-テアニンがアミノ酸だと知っている方も少ないかも…
小出
そうですね、カテキンは広く知られていますよね。でも、日本の緑茶という観点ではやはりお茶の種類によって含量が変わるL-テアニンにも注目して欲しいですね。“お茶でホっとする“などのイメージに紐づく身体への作用がL-テアニンには多く報告されていますから、現代の日本人には気になる成分なのではと思います。
山本
小出さんは現在中国に赴任中ですよね。中国のお茶はいかがですか?日本茶の人気はあるのでしょうか。
小出
いま、上海に駐在を始めて半年ほどです。日本茶の人気はほとんどありません。抹茶の人気が少しあるくらいです。やはり中国茶があるので、彼らは普段は中国茶を飲んでいますよ。緑茶だけの日本と違って製法が様々でお茶の種類も多いです。ウーロン、プーアル、ジャスミン、鉄観音…緑茶もあります。私は弱発酵のウーロンが好きですね。
山本
すべて同じチャという植物が原料ですね。中国と日本の緑茶って全く同じなのでしょうか?
小出
同じ緑茶ですが、製法が少し異なります。日本は蒸して酵素の動きを止めた後に茶葉を揉捻する工程がありますが、中国緑茶はその揉捻工程がありません。日本の緑茶の茶葉をみると、茶葉が砕けた形状をしていますが、中国の茶葉は葉っぱの形がそのままです。淹れると広がってもとの茶葉の形が分かりますよ。
山本
淹れ方も変わりますか?
小出
もちろん。日本の緑茶はお湯を淹れて蒸らす時間が1分前後です。中国茶は茶葉にお湯をかけたらそのままずっと漬けておきながら飲みます。茶葉からの成分の浸出スピードが違います。
山本
そうすると、L-テアニンを意識しやすいのは日本の緑茶?
小出
そうですね。L-テアニンはカテキンやカフェインと異なり70℃ほどのお湯でも抽出できるので、日本式の淹れ方だとカテキンやカフェインの比率が低い緑茶となり、L-テアニン多めの緑茶を直ぐに飲むことができます。もし、70-80℃くらいの温度で緑茶を淹れたことがなかったら、ぜひ一度試してみてください。茶葉の種類にもよりますが、いつもと違う味わいのお茶になるかもしれません。
山本
日本人は緑茶を飲むことでL-テアニンを知らず知らずのうちに身体で感じてきたのかもしれませんね。
山本
先ほども“緑茶=カテキン”イメージの強さを話題に挙げましたが、L-テアニンのことをもっと多くの方に知ってもらいたいなと思っています。L-テアニンは健やかな日々の生活を支える力のある素材だと思うので…!
小出
昔から“お茶=健康”のイメージを支えてきたのはL-テアニンのおかげももちろんあるので、L-テアニンという成分への期待はわかりますし、その力のある素材だと思います。でも、最近は日本茶への理解もハードルが上がっているところがあるので、そこを超えていくのは大変ですよね。私の息子の話ですが、以前『緑茶を買ってきて』と2000円ほど渡してお使いを頼んだところ、ペットボトルの緑茶を買ってきたんです。私が子供のころは「お茶」を頼まれたら当たり前に茶葉のことだったのですが、今の若い方は当たり前にペットボトルの緑茶を飲んでいるから…
山本
私もペットボトルの緑茶は当たり前の世代ですね…緑茶って簡単に飲める飲み物って感覚です。
小出
そうそう。“茶葉”の概念がスタートになっていないから、お茶に対する感覚も全然違うんだと思います。そこから日本茶への理解を深め、さらにその成分のことを知ってもらうのはなかなか大変かもしれません。ただ、健康へのニーズは間違いなくありますし、伝え方次第できちんと響くのかな、とも思います。インストラクターの使命としても日本茶のことを伝える活動は考えたいですね。
山本
最近は色々な専門店があって、コーヒーやお米など、特定の素材について味の体験などができる専門店も多いです。緑茶の専門店ももちろんあると思いますが、“茶葉からお茶を体験する”ような形で、味の違いがL-テアニンというアミノ酸の含量と繋がっていることを体験できたりすると興味を持ってもらえるきっかけになるかもしれません。
小出
「健康~日本茶~L-テアニン」の繋がりを体感できるような活動も良いですね。健康と体験と…日本の伝統的な食文化に若年層が興味を持ちそうな風潮もありますし。
山本
そうですね。L-テアニンの機能性を研究する傍ら、そういったことも考えていけると良いなと思います。
本日は小出さんから日本茶のことを学びながら、成分のL-テアニンの未来についてまで考えられてとても良い機会でした。ありがとうございます。
小出
こちらこそ、日本茶について伝える活動ができて良かったです。ありがとうございました。
(2023年1月)
生活のなかでL-テアニンを意識してみませんか?
健康エビデンスが豊富な緑茶のうま味成分アミノ酸を積極的に取り入れよう。
自分をアップデートして、よりQOLの高い毎日を。